確率計算8.3 吸収壁のある無限段のランダムウォークの回転率の補正
吸収壁のある無限段のランダムウォークで回転率による補正の仕方です。
回転率がボーダラインと異なる場合、一回(大当たり確率分母を一回とします)の当たりで獲得する出玉以外、回転率の差による出玉の増減があります。
回転率の差比γ=(回転率-ボーダライン)/回転率とすると、一回の試行の都度γが獲得できます(γがマイナスのときは利益がマイナスに作用します)。
8.3.1 回転率の補正
確率計算8.2 吸収壁のある無限段のランダムウォークをベースに回転率の補正を行います。使っている記号は同じです。
p=1/(1+λ)(λはオッズ)とすると。持ち金nの前向き確率をu(n)は、
u(n)=p*u(n+1+γ)+(1-p)*u(n-1+γ)
u(n)=λ^nと想定すると、
λ^(-γ)=p*λ^2+(1-p)
この方程式の解くのはできないので、p*λ^2+(1-p)とλ^(-γ)のグラフの交点で解を求めるます。
回転率がボーダラインの時のオッズをλ0とします。
γが小さい時はλ0付近で、それぞれ下記の一次曲線となります。
p*λ^2+(1-p)の曲線の近似直線
2/(1+λ0)*(λ-λ0)+λ0
λ^(-γ)の曲線の近似直線
γ*λ^(-γ-1)*(λ-λ0)+λ0^(-γ)
この二つの直線の交点を求めると
λ=λ0+(λ0+1)*λ0^(-γ)-λ0)/(2-γ*λ0^(-γ-1)*(λ0+1))
u(n)はλ^nの形の曲線と近いものと思われますので、このオッズλを使用して、回転率の補正を行ないます。
以降は確率計算8.2 吸収壁のある無限段のランダムウォークと同じ処理をします。
回転率別のオッズの計算結果を示しておきます。
回転率 オッズ増分 オッズ 実質確率
-0.20 0.191 3.620 0.216
-0.19 0.178 3.608 0.217
-0.18 0.166 3.595 0.218
-0.17 0.155 3.584 0.218
-0.16 0.143 3.572 0.219
-0.15 0.132 3.561 0.219
-0.14 0.122 3.551 0.220
-0.13 0.111 3.540 0.220
-0.12 0.101 3.530 0.221
-0.11 0.091 3.520 0.221
-0.10 0.082 3.511 0.222
-0.09 0.073 3.502 0.222
-0.08 0.064 3.493 0.223
-0.07 0.055 3.484 0.223
-0.06 0.047 3.476 0.223
-0.05 0.038 3.467 0.224
-0.04 0.030 3.459 0.224
-0.03 0.022 3.451 0.225
-0.02 0.015 3.444 0.225
-0.01 0.007 3.436 0.225
0.00 0.000 3.429 0.226
0.01 -0.007 3.422 0.226
0.02 -0.014 3.415 0.227
0.03 -0.021 3.408 0.227
0.04 -0.028 3.401 0.227
0.05 -0.034 3.395 0.228
0.06 -0.040 3.389 0.228
0.07 -0.047 3.382 0.228
0.08 -0.053 3.376 0.229
0.09 -0.059 3.370 0.229
0.10 -0.065 3.364 0.229
0.11 -0.070 3.359 0.229
0.12 -0.076 3.353 0.230
0.13 -0.082 3.347 0.230
0.14 -0.087 3.342 0.230
0.15 -0.092 3.337 0.231
0.16 -0.098 3.331 0.231
0.17 -0.103 3.326 0.231
0.18 -0.108 3.321 0.231
0.19 -0.113 3.316 0.232
0.20 -0.118 3.311 0.232
-0.2の変化でオッズは1.1倍、0.2の変化でオッズは0.9倍といった感じです。
±0.05を超えると誤差が出てくると思われます。
回転率の変化による影響を見るため、長者で終える確率について、計算しておきます。
横軸はn、縦軸はNです。
γ=-0.2の時
1 2 3 4 5 6
2 21.6%
3 5.6% 26.1%
4 1.5% 7.1% 27.2%
5 0.4% 2.0% 7.5% 27.5%
6 0.1% 0.5% 2.1% 7.6% 27.6%
7 0.0% 0.1% 0.6% 2.1% 7.6% 27.6%
8 0.0% 0.0% 0.2% 0.6% 2.1% 7.6%
9 0.0% 0.0% 0.0% 0.2% 0.6% 2.1%
10 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.2% 0.6%
γ=+0.2の時
1 2 3 4 5 6
2 23.2%
3 6.5% 28.2%
4 1.9% 8.4% 29.6%
5 0.6% 2.5% 8.9% 30.0%
6 0.2% 0.8% 2.7% 9.1% 30.1%
7 0.1% 0.2% 0.8% 2.7% 9.1% 30.2%
8 0.0% 0.1% 0.2% 0.8% 2.7% 9.1%
9 0.0% 0.0% 0.1% 0.2% 0.8% 2.8%
10 0.0% 0.0% 0.0% 0.1% 0.3% 0.8%
8.3.2 極端な回転率でのランダムウォーク
1. γ=-1(回転率=ボーダーライン/2)場合
pで勝っても0、(1-p)で負けて-2となりますから、このランダムウォークはnで始めても0に向かう一方で+1に動くことはありません。
従って、勝てる確率は0です。λ=∞、換算確率=0
2. γ=-0.5(回転率=ボーダーライン*2/3)場合
λ^(0.5)=p*λ^2+(1-p)からオッズλを求めます。λ=γ^2と置き換えると、4次方程式となります。γ=1は既知の解ですので、3次方程式となります。
方程式は、p*γ^3-(1-p)*γ^2-(1-p)*γ-(1-p)=0となります。これをカルダノの公式で解くとp=0.226ですから、γ=4.388、λ=19.26となります。この換算確率は0.05です。
殆ど勝ち目のないゲームといえます。
3. ボーダーライン以下での回転数でのランダムウォーク
ボーダーライン以下での回転数は、ボーダーラインから離れていくにつれて急激に勝てる確率が落ちていきます。
ボーダーラインの時の確率p=0.226は、ボーダーライン*2/3の時は、0.05まで落ちます。
ボーダーライン*1/2の時は、0となります。計算はできませんがボーダーライン*4/5あたりが急激に確率が下がる変極点と思われます。即ち、ボーダーライン-4当たりから勝ち目は無いと思われます。
4. γ=0.5(回転率=ボーダーライン*2)の場合
λ^(-0.5)=p*λ^2+(1-p)からオッズλを求めます。λ=γ^2と置き換えると、4次方程式となります。γ=1は既知の解ですので、3次方程式となります。
方程式は、p*γ^3+p*γ^2-(1-p)*γ-(1-p)=0となります。これをカルダノの公式で解くとp=0.226ですから、γ=1.715、λ=2.940となります。この換算確率は0.254です。
ボーダーラインの倍も回れば楽小と思われますが、確率はボーダーラインの場合の0.1倍程度しか増えません。
4. γ=1(回転率=∞)の場合、
(1-p)で負けて0となりますから、それ以外は+2で0の方向に向かいます、常に増加方法に向かうランダムウォークです。確率は100%です。
3. ボーダーライン以上での回転数でのランダムウォーク
ボーダーライン以上での回転数は、ボーダーラインから離れていくにつれてゆっくりと勝てる確率が上がります。
ボーダーラインの時の確率p=0.226は、ボーダーライン*2の時は、0.254となります。
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