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確率計算8.2 吸収壁のある無限段のランダムウォーク

元手n円で、利益がNになったら止める。元手がなくなる(破産)か、利益がNになる(長者)まで打ち続けるものとします。

このようなモデルは吸収壁のある無限段のランダムウォークと呼ばれてます。

このモデルは、勝った時は+1、負けた時は-1とし、斉次方程式を解くのが基本となります。

従って、大当たり確率pの時、1/p回打つのを1回の試行の単位とし、一回の連チャンで獲得する玉を単位金額とします。出玉は連チャン回数やラウンド数の分布により変動しますが、ここでは平均値を使用し一定とします。

8.2.1 大当たり回数の分布計算

1/p回の試行でh回の大当たりを引く確率をP(h)とすると、P(h)は二項分布ですから、

P(0)=(1-p)^(1/p)≒1/e ここにeは自然数(1+1/2!+1/3!+・・・=2.71828)

P(1)=(1/p)*p*(1-p)^(1/p-1)=(1-p)^(1/p)/(1/p-1)≒1/e

P(2)=1/2*(1-p)^(1/p-1)≒1/(2*e)

P(3)=1/6*(1-2p)*(1-p)^(1/p-2)≒1/(6*e)

P(4)=1-P(0)-P(1)-P(2)-P(3)≒(3*e-8)/(3*e)

P(4)≪P(3)に付き、P(3)=1-P(0)-P(1)-P(2)≒(2*e-5)/(2*e)、P(h)=0(h>3)としました。3に抑えたのは、後で3次方程式を解くためです。4次方程式は殆どとけません。3次方程式も解けませんが、3個解の内1個がわかりますので、2次方程式に分解できますので解けます。

8.2.2 無限段のランダムウォーク

P(0)の時持ち金-1、P(1)の時持ち金+0、P(2)の時持ち金+1、P(3)の時持ち金+2となりますから、このランダムウォークの、持ち金nの前向き確率をu(n)、後ろ向き確率をb(n)とすると、

u(n)=P(3)*u(n+2)+P(2)*u(n+1)+P(1)*u(n)+P(0)*u(n-1)
u(0)=0、u(N)=1

b(n)=P(3)*b(n+2)+P(2)*b(n+1)+P(1)*b(n)+P(0)*b(n-1)
b(0)=1、b(N)=0

解をu(n)=λ^nと想定すると、

λ^n=P(3)*λ^(n+2)+P(2)*λ^(n+1)+P(1)*λ^(n)+P(0)*λ^(n-1)
λ=P(3)*λ^3+P(2)*λ^2+P(1)*λ+P(0)

λ=1とするとP(3)+P(2)+P(1)+P(0)=1となり、この方程式の解であることか分かります。

従って、上記の式は(1-λ)*((2*e-5)*λ^2+(2e-4)*λ-2)=0となります。この方程式を解くと、

λ=(e-2)/(2*e-5)+√((e^2-6)/(2*e-5))=3.43(もう一つの解はマイナスとなります)。

λはオッズと呼ばれてます。pの確率で勝った時+1、負けた時-1とするランダムウォークでλ=(1-p)/pとなりますから、このランダムウォークの換算確率は0.226となります。

u(n)=c+d*λ^nと一般解で、u(0)=0、u(N)=1を適用すると、c=1/(1-λ^N)、d=-1/(1-λ^N)。従って、

u(n)=(1-λ^n)/(1-λ^N)

同様にして、

b(n)=(λ^n-λ^N)/(1-λ^N)

尚、u(n)+b(n)=1は常になり立ちます。

8.2.3 収支の計算

このランダムウォークでの期待収支B(n)は、

B(n)=(N-n)*u(n)-n*b(n)=N*(1-λ^n)/(1-λ^N)-n

横軸をn、縦軸をNとして、B(n)を計算しました。

   1       2       3       4       5       6
2  -0.55      
3  -0.81 -1.18    
4  -0.93 -1.69 -1.85   
5  -0.97 -1.89 -2.58 -2.55   
6  -0.99 -1.96 -2.85 -3.49 -3.25 
7  -1.00 -1.99 -2.95 -3.83 -4.41 -3.96
8  -1.00 -2.00 -2.98 -3.94 -4.80 -5.32
9  -1.00 -2.00 -2.99 -3.98 -4.94 -5.78
10 -1.00 -2.00 -3.00 -3.99 -4.98 -5.93

8.2.4 試行の平均回数と標準偏差

https://qir.kyushu-u.ac.jp/dspace/bitstream/2324/1072/4/KJ00000704197-00001.pdf
を参考に無限段のランダムウォークでの試行の平均回数と標準偏差を求めます。

長者か破産となる平均試行回数K(n)、
K(n)=(λ+1)/(λ-1)*(n-N*(1-λ^n)/(1-λ^N)

長者か破産となる試行回数の標準偏差S(n)、
S(n)^2=W(n)-W(N)*(1-λ^n)/(1-λ^N)-K(n)^2

ここに、q=1-pとして、
W(n)=-n/(p-q)^2*(2*N*(1+λ^n)/(1-λ^N)-n)-(1/(p-q)+1/(p-q)^3)*n

平均試行回数の計算
横軸をn、縦軸をNとして、K(n)を計算しました。

N/n 1   2    3   4    5    6
2  1.00
3  1.49 2.15
4  1.69 3.08 3.38
5  1.78 3.44 4.71 4.65
6  1.81 3.57 5.21 6.37 5.93
7  1.82 3.62 5.38 6.98 8.03 7.22
8  1.82 3.64 5.44 7.19 8.76 9.70
9  1.82 3.64 5.46 7.26 9.00 10.53
10 1.82 3.65 5.47 7.28 9.08 10.81

標準偏差の計算
横軸をn、縦軸をNとして、S(n)を計算しました。

N/n 1   2    3   4    5    6
2  1.41      
3  2.01 2.35    
4  2.41 3.08 3.31   
5  2.62 3.53 4.00 4.28   
6  2.73 3.77 4.44 4.85 5.22 
7  2.78 3.89 4.67 5.22 5.63 6.15
8  2.80 3.94 4.78 5.44 5.93 6.36
9  2.80 3.96 4.83 5.54 6.12 6.57
10 2.81 3.97 4.85 5.59 6.21 6.73

8.2.5 長者で終える確率

持ち金がN(長者)で終える確率はu(n)です。

横軸をn、縦軸をNとして、u(n)を計算しました。

    1     2      3      4      5    6
2   22.6%
3   6.2% 27.4%
4   1.8%  7.8% 28.6%
5   0.5%  2.3%  8.3% 29.0%
6   0.1%  0.7%  2.4%  8.4% 29.1%
7   0.0%  0.2%  0.7%  2.5%  8.5% 29.1%
8   0.0%  0.1%  0.2%  0.7%  2.5%  8.5%
9   0.0%  0.0%  0.1%  0.2%  0.7%  2.5%
10  0.0%  0.0%  0.0%  0.1%  0.2%  0.7%

N=n+1の時が勝率が最大となります。この時、nが3以上で勝率はほぼ飽和します。

それ以上になると急激に勝率が落ちてきます。

1の利益を目標した方が勝てる可能性が高いです。それでも勝率は30%程度です。2以上の利益を目標とすると、実現見込みは期待薄です。

8.2.6 ゲームの分析

1回の試行で負ける確率がP(0)=1/e=37%と低く一見楽勝のゲームのように思われますが、収支とんとんの確率P(1)=1/e=37%と大きく、残りの26%がプラスとなります。

しかも、プラス金額の大半が+1であり、オッズ3.43に比べて小さい値です。即ち、0.226の確率で+1、0.774の確率で-1の収支を繰り返すランダムウォークです。

せめて勝った時はオッズ分の利益でもあればよいのですが、あまり条件の良いゲームとは言えません。

式からわかるように、投資額が大きいほど有利なゲームです。

一回の試行が1/大当たり確率となっており、例えばmax機では400回回すことになります。出玉を5000個とすれば、金額の単位は2万円です。

投資額n=5とすれば10万円となります。N=6でゲームすれば2万円のプラスです。

250回転/時間とすれば、一回の試行で1.6時間かかります。

時間もかかり、お金もかかる割に得られる利益が少なく、勝てる確率が29%と低く、これらの数値を見れば、決して、条件の良いゲームとは言えません。

ランダムウォークのシミュレーション例

n=3、N=5(上段)と

n=4、N=5(下段)

につき、それぞれ5組の乱数を発生させ、それぞれの確率で抽選した場合のシミュレーションをしておきました。下段では最後に+2の当選を行ったため5を超えて終えた例が含まれてます。

Randomwalk1

Randomwalk2

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